若年層リサーチ結果を発信する「TesTee Lab」では、今までは調査記事を中心に記事を公開してきましたが、その中でリサーチについてのご質問を数多く寄せられてきました。
今回は、近年需要が増えつつある「ブランドリフト調査」について解説していこうと思います。
目次
ブランドリフト調査
ブランドリフト調査とは?
ブランドリフトとは、消費者をブランディング広告を中心とした広告やキャンペーンに接触した人と接触していない人の2グループに分け、両者の違いを比較し、接触した人のそのブランドに対する認知度や購買意欲が上がったかの態度変容を測るための効果指標のことを指します。この調査をブランドリフト調査やブランドリフトサーベイと言います。
ブランドリフト調査を行うことによって、直接的なコンバージョン(売上増加、リピート増加)などでは測ることができない間接コンバージョンの推測が可能となります。ブランディング効果を確かめ、広告が実際に購買に繋がったか否かを推測することができ、より効果的にPDCAを回すことができます。そのため、ブランドリフト調査は自社ブランディングをより確実なものにするためには必要不可欠なものとなります。
ブランディング広告
広告を大きく分けると、商品購入や会員登録などを目的とした「レスポンス広告」と、それらを目的としない認知度を上げるための「ブランディング広告」の2つがあります。そして、ブランドリフト調査ではそのブランディング広告を対象に行います。
レスポンス広告は、クリック数やCV数などを追うことで効果測定をすることができます。しかし、ブランディング広告の効果は具体的な数値で表すことが難しいため、実際にアンケートを取らなければその広告が機能しているのかを判断することができません。
もちろん、ブランディング広告も出した直後は売上増加や顧客数の増加を観測することは可能ですが、時間がある程度経過した後にも広告効果を追うことは困難となります。そして、その効果測定を可能にするのがブランドリフト調査なのです。
従来では、ブランディング広告は基本的にテレビや新聞、雑誌などマスメディアの領域でしたが、近年では動画広告やバナー広告などWeb上でのブランディング広告にも効果があることがわかっており、またターゲットを絞って広告を出すことができるのでコスト面においてもより効果的に広告を出すことができるようになっています。そのため、ますますブランドリフト調査の需要が増えてきているのです。
態度変容と消費者行動モデル
ブランドリフトとは態度変容のことを指します。そしてその態度変容とは、一般的には「AISAS」というモデルで説明されます。これは、消費者の態度変容は「Attention(認知)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)」の順で起きているとする説明方法のモデルです。
まずは、ブランディング広告などでその商品・サービスや企業を認知(Attention)する必要があります。そして、うまく消費者に対して訴求できた場合、消費者はその商品・サービスに興味(Interest)を持ちます。さらに興味を持った消費者は、その商品・サービスについてもっと知ろうとし、検索(Search)を始めます。そして、そこで商品・サービスの他の魅力や実際に使った人たちの口コミなどを知り、そこでようやく購買行動(Action)に出ます。
従来の説明モデルではここまでで説明が終わっていたのですが、近年では購入した後にSNSの流行によりそれを共有(Share)するという態度変容も見せるようになってきています。そのため、「AISAS」ではShareも加え、現代に即した5つの態度変容を説明しているのです。
また、近年では「Dual AISAS」というモデルも提唱されていることからも、消費者同士の間接的な購買促進行動も進んできており、現在の消費者行動を理解する上では決して無視することのできない要素となっています。
ブランドリフト調査のメリットや必要性
例えば、動画は再生回数などでどのくらい見られているかを測ることはできます。しかし、ブランディング広告の目的は自社ブランドの認知向上や文化づくりにあります。そのため、そもそも視聴者がその広告を覚えていなければ効果は薄く、ただ広告作成の工数だけかかってしまいます。
また、その広告を見ることでマイナスなイメージを抱いている視聴者の方が多い可能性もあります。そうなると、自社のブランド力を強くするどころか、逆にブランド力を弱めてしまうことにも繋がりかねません。
加えて、間接的なコンバージョンを追うことも可能となります。例えばある企業の広告に接触し、その時はコンバージョンせず、別日にその企業を想起し、検索してコンバージョンに至った消費者などを、ブランドリフト調査によって編み出すことができます。
先述した通り、ブランドリフト調査は定性的な部分を調査するものです。そのため、再生回数だけでは測ることのできない消費者の深層心理を調査することができます。ブランディング広告は、視聴されること自体が目的なのではなく、しっかりとブランド力向上に繋がって初めて目的達成となります。その広告が目的を達成しているかどうかを確認し、達成していなければそのデータを基に改善策を編み出す必要があります。そして、その広告効果向上のためにブランドリフト調査が必要なのです。
ブランドリフト調査の方法
①調査会社に依頼する
「自社にリサーチのノウハウを持った人がいないし、できれば正確なデータが欲しい!」という場合は、調査会社に依頼することをおすすめします。
知識がない状態でリサーチを行うと、間違った方法で調査してしまう可能性があります。そして、その調査で出た結果を基にブランディングの施策を行うと、むしろブランドに対して逆効果を与えてしまうこともあります。
そこで、リサーチの専門家がいる調査会社に依頼をすれば、質の高いコンサルティングを受けることができます。また、精密な分析やレポート作成も行ってくれるため、正確さだけでなく工数削減にも繋がります。
ブランドリフト調査にはかなりの知識と労力を要します。そのため「自社には知識がなく、一からリサーチの知識を取り入れる時間も人員もいない」という場合は調査会社に相談してみましょう!
弊社テスティーでもブランドリフト調査を行っております。お客様のご要望・課題を丁寧にヒアリングし、適切なアドバイスをさせて頂きますので、まずはお気軽にご相談ください!
②広告配信プラットフォームを利用する
そのほかにも、広告配信プラットフォームを利用する方法もあります。
広告配信プラットフォームとは、FacebookやGoogleなどが提供しているサービスでブランドリフト調査を行うことができるオプションのことを指します。
しかし、あくまでもそのプラットフォームユーザーを対象に調査するため、例えば好意度や認知度などが通常よりも高くなったりしてしまうことがあります。そして、もし間違った結果をブランディング施策に応用してしまうと、逆に自社のブランド力を下げることにも繋がりかねません。
この原因としては、そのプラットフォームの垣根を超えて市場全体を対象に調査できていないことが考えられます。そのため、ユーザー属性を偏らないように俯瞰的に調査したいのであれば、調査会社に依頼することをお勧めします。
ブランドリフト調査の項目
ブランドリフト調査の調査項目には次のようなものがあります。
広告を覚えているか
ブランドを認知したか
ブランドの比較検討を促したか
ブランドに対する好感度・理解度が変化したか
購入意欲が上がったか
一般的には、これらの項目を中心に自社の広告に当てはめ、質問をどんどん膨らませていきます。
ブランドリフト調査のアウトプット例
では、実際にブランドリフト調査によってどのようなことがわかるのでしょうか?
そのアウトプット例としては、
・純粋な顧客獲得だけでなく、今後顧客になり得る潜在的な顧客へイメージアップの効果があることがわかった
・純粋な顧客獲得だけでなく、このキャンペーンで獲得した顧客が通常の獲得顧客に比べ周囲の人間に推奨していることがわかった
・CMに接触した対象の、ブランドへの好意度が上がっていることがわかった
などを挙げることができます。
そして、これを実際に今後の改善策や新しいブランディング施策に活用していきます。
ブランドリフト調査×ネットリサーチの強み
ネットリサーチで市場全体をまず掴み、その中で自社のブランドがどのくらい認知されているかなどの位置付けを確認することができます。
どうしても局所的なブランドリフト調査では、実際に活用できるデータを得るのが難しくなってしまいます。例えば、あるアプリXのブランドリフト調査を行う際に、そのアプリユーザーを対象に調査しても、すでにそのユーザーにはバイアスがかかってしまっており、市場全体におけるブランドの立ち位置を確かめることができなくなってしまいます。
そして、その結果を基にブランディング施策を行おうとすると、間違った判断をしてしまい、逆に自社のブランド力に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。
そのため、ブランドリフト調査はその市場全体を対象に調査できる手法で行うことが理想です。そして、その調査方法として効果的なのがネットリサーチなのです。
弊社テスティーでも、ネットリサーチを用いたブランドリフト調査を行っております。もし少しでも興味をお持ちの方は、お気軽にご相談ください!
ブランドリフト調査に関するQ&A
Q.1週間以内に納品希望なのですが対応可能ですか?
A.サンプル数のボリュームにもよりますが、基本的には対応可能です。回収シュミレーションは無料で行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください!
Q.どのような広告が調査可能ですか?
A.基本的には、どの種類の広告でもブランドリフト調査は可能です。ただし、あまりに認知率の低い広告(地方限定など)は、調査対象の母数がそもそも少ないため、あまり有用な調査結果を期待することはできません。
Q.他社との違いはありますか?
A.アプリでの回収となるため、広告ID(IDFA/ADID)を利用した調査が可能です。また、一般的には回収が難しいとされている、学生を中心とした10代のデータを大量に回収することが可能です。
Q.どのような業種のクライアントが多いですか?
A.現在は代理店様からのご依頼を多く受けております。また、メディア運営している企業様からも自社の媒体価値を測ったり、競合比較に用いるためにご依頼を受けることもあります。
ブランドリフト調査 あとがき
以上、ブランドリフト調査について解説しました。
少しでも興味をお持ちの方、話を聞いてみたいという方がいらっしゃいましたら、お気軽に弊社テスティーまでお問い合わせください!