飲食店検索サービスに関する調査【後編】

若年層リサーチ結果を発信する「TesTee Lab」にて、男女16,007名(10代6,542名、20代4,261名、30代以上5,204名)を対象に飲食店検索サービスに関する調査を実施しました。

【後編】となる今回は、性年代別のNPS®結果や相関関係が高い要素など、NPS調査の分析結果を中心にサービス活性化に関する考察をまとめました。

飲食店検索サービスに関する調査【前編】ならびに飲食店検索サービスに関する調査【中編】と併せて御覧ください。

食べログユーザー層と性年代別NPS

まずは、食べログユーザーの性年代を改めて見ていきましょう(飲食店検索サービスに関する調査【中編】より)。

食べログ利用率調査<男女16,007名(10代6,542名、20代4,261名、30代以上5,204名)>

直近1年間の食べログ利用率は、男性よりも女性のほうが高く、年代別で見ると20代が最も利用していることがわかりました。20代女性の利用率が最も高く、51.2%と半数以上の人が利用していました。

続いて、食べログユーザーを対象に実施したNPS調査の結果を紹介します。

※NPSとは(参照【アプリリサーチ第一弾】レシピアプリに関する調査)

<男女6,124名(10代1,901名、20代2,096名、30代以上2,127名)>

注1:NPSの算出方法
 NPS設問に対して、
 9〜10点「推奨者」7〜8点「中立者」0〜6点「批判者」と定義したうえで下記数式にて算出します。
 推奨者の割合 – 批判者の割合 = NPS 
注2:認知度の高いサービスではNPSが低く出る傾向があります。

最高スコアは10代男性で6.6となり、10代においては男女ともにNPSがプラスになっています。
男性は女性と比べてスコアがやや高くなり、また、年代が上がるにつれてスコアが低くなる傾向も見つかりました。

推奨者(9〜10点)の回答理由と批判者(0~6点)の回答理由をいくつか抜粋しました。

<推奨者の回答理由>

価格帯も厳密で、総合評価に関してはどのサイトよりも信用出来るから (10点 18歳 女性)

口コミ数が多く、評価数なども分かりやすい メニューなどの写真も多く掲載されていていい(10点 29歳 女性)

良いことだけでなく、悪い点についても正直に書かれているため、お店選びにとても参考になるため。(10点 35歳 女性)

店舗情報や口コミの量と正確性を挙げる回答が多く見られました。

また、推奨者の回答からは「使いやすい」「見やすい」といったUIに関するポジティブな意見も見られました。

<批判者の回答理由>

概ね使いやすいが、間違った情報が掲載されている事があるため(5点 16歳 女性)

お店の情報が古い時がある (5点 48歳 女性)

写真の量に店舗ごとに差がありすぎ。初めて行く店であれば外観が見たいのになかったり、、、地図があるのは助かるけれど。(5点 29歳 女性)

掲載されている店舗情報への不満や不信感を表す意見が見られました。

店舗情報の多さが推奨者を増やしている一方、誤った情報が批判者を増やしている可能性があると言えそうです。

NPS向上には口コミの品質向上が鍵

前章では店舗情報の正確さ・信頼度とNPSの関連性について触れましたが、その他の項目でも関連性の強い項目がありそうです。

アンケートにて5段階評価で回答を得た項目およびNPSの回答理由から抽出したキーワードについてNPSとの相関性を分析しました。

すると、相関性が強い項目として、「お店の見つけやすさ」「操作性」「予約のしやすさ」「クーポン・特典」「口コミ」といった要素が浮かび上がりました。

NPSと相関関係の強い項目<男女6,124名(10代1,901名、20代2,096名、30代以上2,127名)>
注1:「お店の見つけやすさ」「操作性」「予約のしやすさ」「クーポン・特典」については5段階評価にて回答を回収・集計。
注2:「口コミ」についてはNPSの回答理由(自由回答)の中で「口コミ」に関して言及している回答を集計。
注3:満足度についてその他4項目は1〜5点の5段階評価の平均値にて算出。「口コミ」はポジ/なし/ネガの3段階評価の平均値を5段階評価換算にて算出、相関値に関しては項目への満足度とNPSの点数にて算出。

「口コミ」は満足度が低い結果となりましたが、「お店の見つけやすさ」「操作性」「予約のしやすさ」「クーポン・特典」は満足度が高い結果となりました。これら4項目については、満足度の高さと相関性の強さがともに大きいことからも、質の維持が重要であると言えそうです。

推奨者・中立者の中では1割以上が「口コミ」のポジティブ意見をしており、批判者では8.0%が「口コミ」のネガティブ意見を理由にNPSの点数をつけていることがわかりました。

このことからも「口コミ」への評価がNPSに大きく影響することが伺えます。

NPS回答結果から見る「食べログ」予約機能の課題

飲食店検索サービスに関する調査【中編】で、予約行動の増加のために必要な要素として挙げた「予約機能の改善」についてもNPS調査の視点からも深掘り調査しました。

NPSの結果から推奨者、中立者、批判者に分けて予約経験を調査すると、以下のような結果となりました。

<「予約をしたことがない/ほとんどしたことがない」選択者>

推奨者:40.0%

中立者:58.4%

批判者:76.7%

批判者においては約8割の人が食べログでの予約経験がほとんどないということがわかりました。

実際に予約をしない/ほとんどしないと回答した人を対象にその理由を尋ねたところ、以下のような回答が得られました。

予約の仕方がわからない(7点 16歳 男性)

予約できることを知らなかった(5点 32歳 女性)

不便、電話番号も店直接でなく050番号記載だったから。(5点 41歳 男性)

予約方法がわからない、そもそも予約機能があることを知らなかったという回答が多く見られました。

また、批判者のうち「予約機能」「UI」に関して言及している理由を抜粋したところ

情報量が多すぎて見づらいが、とても役に立つ (6点 17歳 男性)

シンプルじゃないから見辛い (5点 17歳 女性)

情報量があり助かる部分と多過ぎる面がある (6点 24歳 女性)

など、情報量の多さがかえってUIを悪くしているという指摘もありました。

その他の意見では、都市部以外では予約できるお店が少ない、という意見も見られました。

サービスの活性化のためには・・・?

NPS調査を行う際に気をつけなくてはいけない点としては、「マイナスになっている=課題」ということではなく、NPSの結果を他と比較する必要があるということです。

例えば、性年代で比較する、NPSの定点調査を行い実際のデータ(売上、アクティブユーザー数など)や施策を経年比較する、他サービスのスコアと比較するといったことが有効です。

加えて、一回の測定のみで終わるのではなく、継続的に調査をし、改善効果や改善施策の発見・推測を行っていくことも重要です。

最後に、今回の調査を通して導き出した仮説を元に、NPS改善と食べログファンの増加施策を考えてみます。

<飲食店検索サービスに関する調査から導き出したサービス改善への仮説>

・情報収集先として利用しているユーザーに予約行動を起こしてもらうことが鍵。そのためには、予約機能のUI改善とクーポン施策の強化が重要

・NPSの向上のためには、サービスに対する安心感向上、口コミの信頼度向上が重要

ユーザーが飲食店検索サービスに求めるものは、メニューやお店までのアクセスといった「店舗情報」と口コミ・レビューといった「ユーザー投稿」であることが前編および中編にて判明しました。

店舗情報の充実度、正確性および口コミ・レビューの信頼度の高さを担保するための一案として、食べログが保有しているユーザー数を活かし、ユーザー間でサービスの改善提案を行う取り組みが有効ではないかと考えます。

もう少し具体的に言うと、口コミや写真など店舗情報を追加してくれるユーザーに対し、新たな行動要素としてサービス内コンテンツのデバッグを促すということです。

例えば、誤った店舗情報を報告することに対しインセンティブをつけることで、店舗情報の正確性の担保を促します。
口コミ・レビューでは現状「いいね!」やフォロー/フォロワー数といったプラス評価のみ評価されていますが、不正コメントなどに対するマイナス評価を可視化することで、ユーザー間で牽制する効果が期待できます。

インセンティブは、ポイント付与やユーザーランキングのような権威付与などが考えられます。

こうしたユーザー行動の増加は、誤った店舗情報や信頼度の低い口コミ・レビューによりサービスから離れてしまうユーザーの抑制にもつながり、ユーザー数増加にも効果がありそうです。

ユーザー獲得へ注力するとともに、ユーザー行動の変化を促すことによって、コンテンツの改善やユーザーの新規獲得にもつながり良いサイクルが生まれる可能性が高いと考えます。

あとがき

以上、飲食店検索サービスに関する調査結果【後編】をご紹介しました。

サービスの課題解決や品質向上にあたり、アンケート調査を実施してユーザーの声に耳を傾けることが多いですが、それに加えてNPSを利用した調査・分析することでさらなるサービス改善が見込めると考えます。

今後、NPSでの改善例についても、今後記事化していく予定です!

飲食店検索サービスに関する調査【前編】

飲食店検索サービスに関する調査【中編】

注:NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

*調査結果から、本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、弊社サービスのクレジット
「TesTee(テスティー)調べ:https://www.testee.co」の表記をお願いします。

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調査期間 :2018年11月21日(水)〜 11月26日(月)
調査対象 :10代以上/ 男女 / 自社モニター会員 
割付方法 :16,007サンプル(10代男性3,434サンプル、10代女性3,108サンプル、20代男性2,124サンプル、20代女性2,137サンプル、30代以上男性2,631サンプル、30代以上女性2,573サンプル)

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